不本意にもひきこもり状態
2020-07-12


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一人暮らしのため、体調が悪くても、掃除、洗濯、買い物、食事の準備……全て自分でやるしかない。訪ねてくる人もほぼ居ない。会話は24時間全くない。
このままでは、私自身が認知症まっしぐら。

母が自宅に居る時には、TVは母の好きな演歌番組とサスペンス劇場しか見られず、それらが放送されない時間帯には録画して対応していたが、私自身は演歌もサスペンス劇場も興味は無い。ニュースや情報番組のほか、笑ったりツッコミを入れられる番組を見た。クイズ番組も、たまに見るドラマも、ツッコミどころ満載だ。普段は独り言なんか言わないけれど、あえてTVに向かって声に出してツッコミを入れ、せめてもの会話の代わりにした。ほかにも、「凄いねえ」「可愛いねえ」「辛いよねえ」等々とにかく声に出す。

そんな努力のおかげなのか、あるいは、現役の頃よりは低下しているのか、それは分からないけれど、精神科での発達障害診断時に行った知能検査では、私はIQが高いと言われた。全体では上位6%で、最も高い言語的知能指数は132とのことだった。
初対面の臨床心理士の前で、廊下のざわめきも聞こえる個室で、鉛筆を持つ手が震えてしばらくは名前も書けない状態だったので、もしかしたら、別の環境ならもっと上だったかもしれない。

IQは別にしても、私には現役時の実績があるし、今でも仕事に対する能力には自信がある。パワハラや過重労働で一度は退職を余儀なくされたが、自閉症スペクトラム障害によりストレスを受けやすく、怠慢ではなく体調不良になりやすいのだという事さえ理解してもらえるならば、人付き合いは苦手だが、普通の正社員と同等かそれ以上の貢献ができる。
けれど、「障害者就業・生活支援センター」で勧められたのは、福祉作業所だった。
福祉作業所が悪いと言うつもりはない。そこに通う多くの方々が、喜びや生きがい、誇りをもって作業に励んでおられるだろう。
けれど、少なくとも私にとっては、ベストな選択とは言い難い。

私が福祉作業所を勧められた理由は、ブランクがあるから。
海外では、親の介護もキャリアとして認められるどころか、職業として報酬を得られる国もある。日本はなんと遅れているのだろう。親の介護のために不本意にも離職するしかなかった年配の子供は、もう社会の軌道に戻ることは不可能に近いということなのか。

「障害があるからと言って、何でも考慮されるわけではない。個室くらいなら用意できるだろうけれど、それ以外は無いと思って欲しい。それに、能力があっても休む人より、能力が無くても休まない人の方がいい」
障害者就業・生活支援センター職員のこの発言は、どう考えても問題だと思う。
障害者雇用枠で企業が望んでいるのは、どうやら、安い賃金で従順に単純作業をしっかりこなしてくれる労働力のようだ。自閉症スペクトラム障害が今もまだ理解されていないからなのだろう。自閉症スペクトラム障害者の多くが高い能力を持っているというのに。

政府が、ひきこもり問題や労働者不足の問題に真に取り組むつもりがあるのなら、能力がありながら活躍の場を失っている日本中の多くの無職者に目を向け、公的支援団体や企業に対して理解を深める施策を怠るべきではない。
それは、個人のQOL(生活の質)を高めるだけに留まらない。
労働により社会との接点を取り戻せば購買意欲も増し、消費拡大に繋がり、社会の活性化にも一役買える。労働人口が増えれば国や自治体の税収も増える。

推計100万人のひきこもり者は、適切な支援と理解があれば、社会貢献もできる。
これを見過ごすことは、大きな社会損失でもある。
そのことを忘れてほしくない。

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